まず私は基本的に変化を好んでいる。サッカーは常に改革されていなければいけないと考える。もちろん、そのお手本としてヨーロッパ(特に西ヨーロッパ諸国)の現在のやり方が理想的である、とは限らないわけだが。
先日書いた契約制度の変更、すなわち移籍金の撤廃については、クラブ側から反対意見が出ているらしい。
10年からの導入が決定的な国内移籍の移籍金撤廃について、Jクラブから反対意見が噴出した。10日、J1実行委員会で議題として挙がったが、実行委員を務める各クラブの社長から10年導入を「見送るべき」との意見が続出。11年導入が既定路線だったこともあり「来年の導入を想定して選手と契約していない」と準備不足を理由に挙げた。FIFAルールに合わせる方向性に対しても「90年代後半のように年俸が高騰し、横浜Fのように経営が破たんする」と危惧(きぐ)する発言も出た。
ただJリーグ羽生英之事務局長は「明日のJ2実行委員会でも同じ話をし、来週(17日)の理事会にかけたい」と10年導入を推し進める方針を示していた。
[2009年3月11日8時38分 紙面から]
反対意見については、もちろん「移籍金制度を撤廃すべきではない」というものもあるだろうが、「10年の導入を見送るべき」というものも多いようだ。
2009年3月4日付けの日刊スポーツの記事を再び引けば、下記のような記載がある。
これに伴い、選手は契約が切れる6カ月前から他クラブと交渉ができる。ほとんどの選手が翌年の1月31日まで契約を結んでいるため、今季限りで契約が切れる選手は、今年8月から移籍交渉が可能となる。
つまり、来年1月31日までに契約が切れる(大部分の)選手については、今年の8月1日以降は他クラブと来年2月1日以降の契約交渉が可能になるということになるわけだ。
それ以降は海外だろうが、今よりも高額の報酬を出すクラブだろうが、どこへでも"移籍金ゼロ"で来シーズンにはいなくなってしまう。
それを防ぐためには、今年の7月31日までに来年1月31日以降に終了する新しい契約を結ばなければならない。今後は常に、確保し続けたい選手については契約が切れる半年以上前に新しい契約を結ばなければならないわけだ。
ところが、今現在クラブが選手と結んでいる契約については、「移籍金撤廃」前の条件に従ったものになっている。
例えば、今は契約が切れても国内移籍ならば移籍金が発生するので容易に移籍はできない。だから1年ずつ契約を更新している。しかし、これが新しい制度のもとで結ぶ契約ならば、どうしても確保したい選手についてはより長い契約期間を提示することになるだろう。現状はそうなっていないのだから、クラブが「10年実施」にしり込みするのは理解できる。
今年の年末に新制度を念頭に入れた契約を選手と結び、それから制度の運用が始まるという方がスムーズだし、混乱が少ないだろう。
もしも10年実施を強行するのならば、ひょっとしたら「空白の6か月」(東京読売巨人軍・江川卓の「空白の1日」をもじって)的な制度の穴を突いた移籍が発生するかもしれないのだから。
さて、本題に移ろう。
日本サッカー協会は9日、東京都内で常務理事会を開き、Jリーグ将来構想委員会の委員長を務めるJチェアマンの鬼武健二副会長がJ各クラブの経営面にマイナスの影響を与えるとして、秋開幕、翌春閉幕の「秋春シーズン制」(秋春制)へは移行しないことを報告した。
鬼武委員長は「Jリーグのクラブ経営を中心に考えた。(集客の多い)7、8月に試合がなくなると経営問題に発展する」と話した。移行を促してきた日本協会の犬飼基昭会長は報告を受けて再検討する可能性を示したが、事実上の結論が出たといえる。
犬飼会長は昨年7月の就任当初から、欧州では一般的な秋春制導入を主張してきたが、試合会場の改修に巨額な設備投資が必要な上、積雪地域のクラブを中心に反対意見が根強く、Jリーグ側は移行に消極的だった。
(2009年3月9日21時27分 スポーツ報知)
犬飼JFA会長が秋春制のメリットとして挙げているのは、例えば10/06のコラム|犬飼会長の芝生で語ろう|JFA|日本サッカー協会を読む限りこんなところ。
- 選手の酷暑対策
- ファン・サポーターの熱中症のリスク対策
- ゲリラ豪雨、落雷の危険性対策
- 選手のパフォーマンス低下対策
- 家庭を持つ選手は子供と余暇を過ごせる
- 興行的メリット(プロ野球などメジャースポーツのシーズンオフでメディアの扱いが増える)
- 海外移籍がスムーズになること
- 若手の出場機会が増えること
- 1~2月の国際Aマッチにシーズン中でコンディションがいい選手を送り込める
一方で同じコラムの中で課題として挙げられている物はこんな感じ。
- 雪国のクラブチームにとっての冬の練習場確保
- 観客に対する寒冷対策
- 決算期や学校の年度の問題
- 社会人リーグや学生リーグなどの環境面
高校や社会人、大学とのシーズンのズレも問題だが、やはり一番大きいのは「積雪」と「寒さ」だろう。ちょっとこれについて考えてみたい。
まずは気象データ。ソースはYasuko's Pageのサイトの都道府県別の日照時間と気象データのページから。サイトは個人で運営されているようであるし、データも2000年のものなので、参考程度に考えてほしい。
| 都道府県 (都市) |
0cm以上積雪する月 | 10cm以上積雪する月 | 平均気温が5度 以下になる月 |
||
|---|---|---|---|---|---|
| 10日以上 | 1か月全て | 10日以上 | 1か月全て | 北海道(札幌市) | 4、11月 | 1~3、12月 | 4、11月 | 1~3、12月 | 1~3、11、12月 |
| 宮城県(仙台市) | 2、12月 | 1~3、12月 | |||
| 山形県(山形市) | 1~3、12月 | 2月 | 1~3、12月 | ||
| 茨城県(水戸市) | 1、2月 | ||||
| 栃木県(宇都宮市) | 1、2、12月 | ||||
| 群馬県(前橋市) | 2月 | ||||
| 埼玉県(熊谷市) | 2月 | ||||
| 千葉県(千葉市) | |||||
| 東京都(23区) | |||||
| 神奈川県(横浜市) | |||||
| 新潟県(新潟市) | 2、12月 | 1、2月 | |||
| 富山県(富山市) | 1~3月 | 2月 | 1、2月 | ||
| 山梨県(甲府市) | 1、2月 | ||||
| 岐阜県(岐阜市) | 2月 | ||||
| 静岡県(静岡市) | |||||
| 愛知県(名古屋市) | 2月 | ||||
| 京都府(京都市) | 2月 | ||||
| 大阪府(大阪市) | 2月 | ||||
| 兵庫県(神戸市) | 2月 | ||||
| 岡山県(岡山市) | 2月 | ||||
| 広島県(広島市) | 2月 | ||||
| 徳島県(徳島市) | |||||
| 愛媛県(松山市) | |||||
| 福岡県(福岡市) | |||||
| 佐賀県(佐賀市) | 2月 | ||||
| 熊本県(熊本市) | |||||
| 大分県(大分市) | |||||
こうして見ると、札幌はさすがにすごい。ほぼ12月から翌年3月まで10cm以上の積雪に閉ざされていることになる。それどころか11月や4月でさえ10日以上雪が積もっているほどだ。しかし、全体的に見れば12月~2月が「積雪」、「寒さ」の部分で試合開催が無理な時期と最大公約数的には言えるのではないだろうか。
そういう前提で実際に日程を作ってみた。例として2008年8月2日(土)に開幕、2009年5月30日(土)に最終節を迎える設定にしてみる。とりあえずJ1だけ。J2については現実と同様にナビスコカップの試合がある水曜日などの開催が増えることになる。
2008/07/26 Fuji Zerox Cup 2008/08/02-03 第1節 2008/08/09-10 第2節 2008/08/16-17 第3節 2008/08/23-24 第4節 2008/08/30-31 第5節 2008/09/03 ナビスコカップ予選第1節(水曜開催) 2008/09/07 ナビスコカップ予選第2節 2008/09/13-14 第6節 2008/09/20 第7節 2008/09/23 第8節(祝日開催) 2008/09/27-28 第9節 2008/10/04-05 第10節 2008/10/08 ナビスコカップ予選第3節(水曜開催) 2008/10/12 ナビスコカップ予選第4節 2008/10/18-19 第11節 2008/10/22 ナビスコカップ予選第5節(水曜開催) 2008/10/25-26 第12節 2008/10/29 天皇杯4回戦(水曜開催) 2008/11/01-02 第13節 2008/11/05 ナビスコカップ予選第6節(水曜開催) 2008/11/08-09 第14節 2008/11/12 ナビスコカップ予選第7節(水曜開催) 2008/11/15-16 第15節 2008/11/22-23 第16節 2008/11/26 天皇杯5回戦(水曜開催) 2008/11/29-30 第17節 2008/12/05-07 第18節 2008/12/13-14 第19節 2008/12/20 天皇杯準々決勝 2008/12/23 第19節(CWCに出場するチーム) 2008/12/26 天皇杯準々決勝(CWCに出場するチーム) 2008/12/29 天皇杯準決勝 2009/01/01 天皇杯決勝 2009/02/28-01 第20節 2009/03/07-08 第21節 2009/03/14-15 第22節 2009/03/21-22 第23節 2009/03/25 ナビスコカップ準々決勝(水曜開催) 2009/03/29 ナビスコカップ準決勝 2009/04/04-05 第24節 2009/04/11-12 第25節 2009/04/18-19 第26節 2009/04/25-26 第27節 2009/04/29 第28節(祝日開催) 2009/05/02 第29節 2009/05/05 第30節(祝日開催) 2009/05/09-10 第31節 2009/05/13 第32節(水曜開催) 2009/05/16 ナビスコカップ決勝 2009/05/23-24 第33節 2009/05/30 第34節 2009/06/20 J1・J2入替戦第1節 2009/06/27 J1・J2入替戦第2節
日程は一応エクセルファイルにまとめてみた。akiharu.xls
インターナショナルマッチデーについては、International Match Calendar 2008-2014(PDFファイル)を参考にした。
今のJリーグの日程には、例えば5月24日(J1第13節)から6月20日(J1第14節)までのように、毎年およそ1カ月間の中断期間がある。これは日本代表チームの活動などの関係で設けられているのだが、この中断期間を利用して2か月のオフ期間を作り出したわけだ。だからリーグ戦のウィンターブレークそのものは、J1・J2入替戦やゼロックスカップも含めたレギュラーシーズンの日程の中に納まっている。天皇杯の4回戦と5回戦については、そのあおりで水曜開催になってしまっている。
日程的には6月、7月をシーズンオフとしているが、7月はシーズン前の準備があるし、6月はワールドカップの年なら代表選手は全く休めないことになるので、できたら8月もオフにしたい。そのために2月も試合をやって8月をオフにした(オリンピックは8月開催だし)のが前述のエクセルファイルのパターンBだ。都道府県別気象データによると、1年でもっとも寒い月だからいささか問題があるが、2月中の3試合と3月のうちの何試合かは、雪国のクラブはアウェーを続けてもらって対応するしかないだろう。
さて、この場合の問題はシーズン中断期間である1月、2月(天皇杯に早い時期で敗退すれば12月も)の雪国のクラブの練習環境をどうするかだ。例えば、条件的には一番厳しいであろう北海道のコンサドーレ札幌は1月19日に始動、翌20日から2月9日まで21日間グアム合宿を行い、続いて2月12日から3月6日まで24日間熊本合宿をこなし、3月8日にホーム札幌ドームで開幕を迎えている。実に1ヶ月半合宿を行っているわけで、これはこれでコンサドーレにとっては大変な負担になってはいることだろうが、秋春制にして2月や3月に再開した場合でもやはり1か月程度の合宿は行わなければならないから、これは現状と変わらないことになる。問題は2月に再開するパターンBでは2月のシーズン再開後の練習を札幌では行えないことで、その点は負担増となってしまう(パターンAの場合は現状と同じ)。
こうして具体的に考えていけば、何が問題なのかはっきりわかってくる。私には3月再開のパターンAについてであれば特に問題はないように思える。
ちなみにヨーロッパ各国リーグの開催期間は以下の通り
スペイン 2008/8/30(2008/12/22~2009/1/2中断)~2009/5/31 38節
イギリス 2008/8/16(2008/12/31~2009/1/9中断)~2009/5/24 38節
イタリア 2008/8/31(2008/12/22~2009/1/9中断)~2009/5/31 38節
ドイツ 2008/8/15(2008/12/14~2009/1/29中断)~2009/5/23 34節

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