例えば、アルディージャのサポの人が「試合内容から両チームの力は互角だった」と書いたとします(本当にそう書いた人がいるかどうかは確認していません)。
確かにJ1スコア速報<浦和-大宮> : nikkansports.comによれば、ボール支配率は2%ほどアルディージャの方が高いし、シュート数もレッズ13本に対してアルディージャ10本と大した違いはありません(ただし枠内シュート数に限れば8本:4本と大きな差になります)。
にも関わらず、私には両者の内容が互角であったとは思えないのです。
それは、アルディージャが決して大きなチャンスを掴んだわけではないからです。
例えば、枠内のシュートはヘディングを叩きつけたようなものが2本ほどあった他は、シュートといっても枠内方向へ飛んだだけというものだったり、枠外でも例えばスルーパスで抜け出したワシントンのような、あるいはゴール前フリーでパスを受けたアレックスのような、もしくはゴール右サイドから切り込んでシュートまで行った堀之内や内舘のそれのようなシュートではなかったかと思えます。
シュートまでは至らなかったけれどもいい形で組み立てていたという意見もあるかもしれません。だから内容は「互角」だと。
しかしそうした「形」がいくら出来ていても、得点はおろかシュート機会にも結びついていないのでは、そうした評価はまったくナンセンスであるというべきです。
サッカーは組み立て方を競う競技ではありません(今シーズンのレッズのMFたちは、皮肉にも時としてそれに酔っているように見えることがありますが)。
シュートがある程度確率によって決まるものならば、得点を取るためには数多くのシュートを撃たなければならないのが道理というものです(もちろんシュートする時の環境によって難易度は異なるでしょうが)。
そうした意味で、決定的なシュート機会をそれほど作れたわけではないアルディージャの内容がレッズと互角であったというのはおかしいだろうと私は思います。
アルディージャの三浦監督はこうしたコメントを残しています。
いまの浦和は守備のチームだと思う。
「守備のチーム」であるという評価は、時にはネガティブな響きを持つことがあります。ただし、ここではそうした「攻撃力のないチーム」というような意味ではないでしょう。
強いチームというものは、一般的に、しっかりしたディフェンスを持っているものです(そのあたりが私がガンバ大阪を良いチームであっても強いチームであるとは思えない理由ではあります。余談ですが)。
レッズの場合は特に、伸二や長谷部、ポンテやワシントン、アレックスといった攻撃陣がクローズアップされることが多いですが、実際のところ彼らが一人二人欠けたとしても(バックアップの選手が奮闘していることもありますが)、ほとんど変わらないゲームが出来ています。
それは結局、ほとんどメンバーを欠いていない啓太やGKを含むディフェンスラインの力が大きいからです。
そういう意味では「守備のチーム」というのは本質をついた評価かもしれません。
そうした「守備」面で比較すればむしろ、互角であったとはいえないのではないかというのが私の評価です。
つまり、2-0という得失点差は、内容を見れば妥当だということです。
さて、「守備のチーム」といえばむしろアルディージャの十八番でした(ように私は思っています)。レッズとアルディージャとどっちが「守備のチーム」だろう?というちょっと意味不明瞭な問い掛けをしたら、おそらくアルディージャの方が「守備のチーム」でしょう。
このゲーム中でも、シュートは撃たれても、できるだけコースを限定するとか、シュート体勢を妨害して勢いのあるシュートを撃たせないとか、撃たれたシュートに身体を投げ出してコースを変えるとか、ということはしていました。
しかしながら、アルディージャは今シーズン大きな補強をして「単に守備のチーム」である(という言い方が典型的なネガティブな評価)ところから一歩踏み出したとされていました。
しかし、結論として言えば正直なところそうした個の力を生かせていたとは思えません。それはもちろん獲得した「個の力」が必要十分なものではなかったということもあるのかも知れないでしょうが、私にはそれを率いる監督の力量もあるのではないかと思えます。
私の知る限りでは、アルディージャは過去にも質的向上を図った経験があります。
それは2001年シーズンで、三浦俊也監督の1回目の監督任期の2年目でした。
1999年にプロ化への道を踏み出し、ピム・ファーベーク監督の元で組織的なサッカーを構築し、コーチだった三浦氏が2000年に監督としてチームを指揮することになりました。
このシーズンのアルディージャは選手の多くは無名だったものの、ピム路線を引き継いだ組織サッカーで11チーム中4位(昇格したコンサドーレ、レッズ、それに最終節で昇格を逃したトリニータに次ぐ順位)と善戦します。ちょうどこの年はレッズがJ2に降格し、公式戦としてはじめての「埼玉ダービー」が行われた年でもありました。
しかし、この年昇格したレッズ、コンサドーレ、代わって降格したフロンターレ、パープルサンガなど組織面ではともかく、選手個々の力で勝るチームを見て限界を感じたかも知れません、翌2001年シーズン前には当時のアルディージャとしては大きく有力選手の獲得を行うように動きました。
バルデス、トニーニョといった中米・南米のテクニカルな外国人選手はマーク、ヤンといった戦術理解の巧みなオランダ人(これは意識して偏見。実際には怪我などもあったか?)選手に代わって獲得され、フロンターレから大塚、伊東、ヴェルディから村主、ジュビロから安藤といったJで経験のある選手を獲得し、質的向上を図ったのです。
チームとしてはおそらく、組織サッカーはある程度できたものとして、それを実力のある選手でレベルアップしようという意図があったのでしょうが、バルデスがボールを持ちすぎで機能しないとか、前年までの組織サッカーは影を潜め、12チーム中5位で昇格を逃して終わります(もっともこの辺の評価は私が実際に見たわけではないので不正確であるかも知れません)。三浦監督もこの年解任され、再びオランダサッカーを目指すということなのか、オランダ人のヘンク監督を就任させています。
確かに2000年のアルディージャとの4回の対戦を見る限り(第3節、第14節、第33節、第43節)、守備は堅いが(という割には第14節のように6-0とかもありますが)、攻撃はほとんど前線の外国人FWジョルジーニョ頼りで、0-1で勝った第33節(雨中のペトロビッチとのお別れゲーム)以外は1点も取れていません。そのままでJ1を目指すというのは難しそうではありました。
この前例を見る限りでは、実のところ「個の力」の活用というのは、監督にとってそれほど簡単なものではないことがわかります(恐らくは特に自分の理論に選手を合わせようとするタイプの指導者にとってはより難しいかと)。
果たして三浦監督は前回の失敗経験を生かせるのか、それはわかりません。まぁどうでもいいこととも言えますが。
そもそも、質の向上を図るつもりなら、当然中心選手となるグラウ選手が体現しているような特質(決定力というかある種のいやらしさ)を持つ選手が10節を数えようというこの時期に未だチームにフィットしていない状況であるのは、真面目にチーム運営をしているのか、疑いを持たざるを得ません。それこそどうでもいいことですが。
以前私は、「ダービー」の萌芽というエントリーを上げました。
レッズとアルディージャとの対戦は「ダービー」であるとされています。
実際にピッチ上では小競り合いも起きました。
もっともその原因は、アルディージャの桜井選手のひじ打ちに対する啓太の個人的な報復劇でした(あのプレーで一発退場ならばむしろ納得が行くのですが、そうすると桜井選手を先に退場にしなければいけないところです)。
このプレーが一つの現状を的確に表しているような気がしますが、アルディージャの選手にとっては、結局、レッズ戦は「ダービー」という名を冠して、自分や自分のチームの知名度や評価を高める場に過ぎない(上述の桜井選手なども、「自分を見出してくれなかったレッズに対する意趣返し」というストーリーを作った上での行動でしょう)ということです。
そんなことではっちゃけてしまうアルディージャの選手が足りないテクニックをラフプレーで補うのはご免蒙りたいものです。
そもそもダービーというものは、特に有名なチームが地元のローカルなチームと対戦する形のダービーは、おおよそそういう形を取るものかとは思います。
ただし、そういう形の関係で、有名な方のチームが、ローカルなチームを同じ地域にあるということだけで対等と見なすかといえば、そんなことはなく、実際に対等ではありません。
レッズの選手(そして多くのファン)にとっては、「ダービー」という表現は、単に新しい刺激とでも言うべきものに過ぎないでしょう。
同じ地域にあってその勝敗に意地をかけるというのは、単にクラブの財政規模の違い、ファンの多さ、そういうものから来るのではもちろんありません。
そこには、互いのエンブレム、地域への誇りが賭けられていていなければ本物とは呼べません。
この試合でピッチに立った選手のうち、この地域のサッカー地盤で生れ育った者は、レッズの堀之内(浦和三室SS→三室中→浦和市立高)、内舘(浦和田島SS→田島中→浦和北高)、アルディージャは桜井選手(浦和三室SS→三室中→大宮東高)、小林慶選手(与野西北小SS→大宮FC→桐蔭学園高)しかいません(堀之内1979年生れ、内舘1974年生れ、桜井1975年生れ、小林1978年生れで、内舘は早生まれなので、桜井とは二学年差、小林も早生まれで堀之内と二学年差の上に市が違うからほぼ被っていないはず)。
やはり両チームの先発メンバーに互いのユースなどで育った選手が顔を揃え、高校の時のあの試合で…とかいう台詞を吐けるぐらいにならないと、そういう意味での本物のダービーとは言えない気がします。
レッズは今節、決して完璧な内容というわけではなかったものの、大量補強を行ってまだその実を発揮していない中~下位のチームにしっかりと勝ちました。
ラフプレーによりGKは負傷し、中盤の選手が一人退場処分を受け、試合終了後にはもう一人中盤の選手が次節の出場が難しそうだということが判明しましたが、試合そのものは妥当な勝利でした。ということ以上でも以下でもないようです。少なくとも現時点では。

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