試合前
自分の中では、幾つか決まり事があります。
その一つは、「年長のチームから優先する」ということです。
つまり、トップチーム>ユースの公式戦>サテライト(どうしても個人の応援に傾きがちなのと、太鼓のせいでもう一つ思い入れができないのです)>ユースの練習試合>ジュニアユースの試合観戦の機会を優先するということです。
それは当然ながら上の年代のチームの試合のほうが、どうしたってプレーとして見て面白いという自然の摂理のためでもあります。
そしてこの日は、長居スタジアムでトップチームがリーグ第26節を戦う日でした。
自分の定めからしても、この日は長居へ行くべきでした。
一方で、ユースにとっては最後の大会となる高円宮杯、相手はグループ3位として決勝トーナメント進出を果たした星稜高校ですから、あるいは次の準々決勝がヤマと言うべきかも知れません。しかし、やはり負けてしまえば最後、さんざん悩んだ末でしたが、会社から持ち帰った仕事、それがまだ片付いていなかったため、少しでも早く終わって早く帰ってこれる藤枝に行くことを選んだのでした。
そうしていわば外的な要因で藤枝へ行くことを決めたのですが、そうやって決めてしまえば、ほっとしたところもありました。
星稜高校戦
【星稜高校】
---------01小倉②--------
02横山③--12表③---04作田③--03鹿間③
------08出村③--07大畑③-----
09塩原②--------------06松本③
------11綿谷③--10三木③-----
.
------09市川③--12小池③-----
13宇賀神③----10佐藤②-----11西澤③
------08増田③--24広瀬祐②----
---03野島③--05堤③---15吉田③--
---------16大橋③--------
【浦和レッズ】
(45分ハーフ)
'09星稜【得点】11綿谷③ 0-1
'13星稜【得点】09塩原② 0-2
'33星稜【得点】11綿谷③ 0-3
'38浦和【警告】12小池③(通算1枚目)
'53浦和【得点】05堤③ 1-3
'54星稜【警告】04作田③
'60浦和【交代】10佐藤②→23村松②
'61星稜【交代】11綿谷③→14谷川①
'64星稜【交代】10三木③→24井谷②
'67浦和【交代】03野島③→04小松裕③
'82浦和【交代】11西澤③→19中山②
'84浦和【得点】19中山(アシスト:09市川)2-3
'86星稜【警告】06松本③
'88浦和【警告】09市川③(通算1枚目)
'89浦和【警告】13宇賀神③(通算1枚目)
星稜高校は予選グループ最終戦の鵬翔高校戦(2-1で勝利)で予選GL3戦連続して先発出場していた1年生のDF鈴木大輔選手が2枚の警告で退場、同じくDFで主将の清水孝太選手を通算2枚目となる警告を受け、いずれも出場停止でこの試合は欠いていました。
一方のレッズは山田純輝くんを累積警告による出場停止処分で欠き、萩尾くんはサハラカップのコンサドーレ戦で受けた傷が完治せず、渡部くんはようやく復帰したところで練習中に以前と同じ場所を傷めてしまい、まさに満身創痍という状態でこの試合に臨みました。
また、2年生の何人かはちょうど学校行事と重なってしまって参加できませんでした。
レッズは風下の前半から攻め立てます。
前半のシュート数はレッズ8本に対して星稜は4本、星稜高校は風上を生かしてロングボールを前線の長身FW三木選手(187cm)に当てる攻撃が中心で、あまり繋いで来ません。
しかしながら、この長身選手と競らされる形をレッズは苦手としており、度々サイドラインやエンドラインに逃れます。
そんな中で開始9分、CKからニアサイドに入られ、ゴールを決められます。
4分後の13分にはこぼれ球を決められ2点差、ボールを支配して攻めているのに1発を決められます。
そしてさらに33分にはカウンターから決定的な3点目を決められてしまいます。
実にシュート4本で3点を奪われたわけです。
風上に回った後半は前半に増して攻め立てます。
そんな中で、後半8分にはCKからのこぼれ球を上がっていた堤くんが蹴りこんで1点を返します。
しかし、後半15分、この試合では痛めた足に針を打って出場しながら気を吐いていた佐藤謙介くんが村松くんと交代、22分には野島くんが、37分には西澤くんがいずれも相手と接触して交代を余儀なくされます。
それでも西澤くんと交代した中山くんが出場2分後の後半39分に2点目を決め、1点差として意気揚がります。
その後も市川くんの惜しいシュートや、宇賀神くんのゴール上隅に飛んだFKなどチャンスはありましたが、惜しくも届かず、2-3で敗れました。
後半のシュート数は11対1、ゲームを通して19対5、圧倒的に攻めましたが、決め切れなかったという印象が強いです。
また、長身FWに競らされた時に調子を狂わされるという弱点を結局最後まで解消できなかった感じもします。
ゲーム中、宇賀神くんを下がらせて4バックの形にして、より守備陣の負担を減らしてからはだいぶ良くなりましたが、代わりにサイドが薄くなって中央から強引に行く形が多くなった気もします。
なんにせよ、これがこのメンバーで一緒にやれる最後の試合となったわけでした。
試合後
試合後、代表して挨拶をした堤キャプテンの言葉(だいたいこんな意味のこと)。
「このチームで勝って、最後は優勝したいと思っていたので残念です。3年間、いや人によってはもっと長くの間、応援してくださってありがとうございます。3年の大部分はこれで次のステップに進みますが、後に残る者の応援もこれからよろしくお願いします。」
色々悩んだ末の藤枝ではありましたが、結果的に彼らの最後の試合を見届けることができたことで後悔はありません。
3年生の大部分はこの試合を最後に、それぞれの道へ進みます。
中にはトップチームに昇格して、これからも長い付き合いになる者もいれば、大学でサッカーを続ける者、社会人のチームに加入する者、中にはサッカーを辞めてしまう者もいるかもしれません。
この試合、「俺達の誇り」という段幕が出ていました。
これは、出した人によれば、「(トップチームに昇格できなかったりする者も、あちこちバラバラになってしまったりする者も、トップチームに昇格する者たちと同様に)君たちは俺たちの誇りだ」という意味だそうです。
彼らユースの選手は、レッズのユニフォームを着てプレーすることに誇りを持っています。
多くがトップチームに昇格して、多くの観衆の前でプレーしたいと思っています。
ある者は13歳から、他の者は15歳から、青春の少なからぬ時間をレッズのために費やして、大袈裟に言えば、自分の人生をレッズに賭けているわけです。
その重みは、もっとも熱心なサポーターのそれにも劣るものではないでしょう。
それでも叶えられない夢、叶えた者はそうでない者の夢も肩に乗せてプレーするのです。
だから私も想うのです。
夢を叶えた者、叶えられなかった者、いずれも等しく、「俺達の誇り」だと。