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南北問題

Amazon.co.jp: 本: 我らが街に凱歌は響き―浦和レッズ、初戴冠 豊田 充穂 (著)
この本に影響されて(笑)ちょっと書いてみました。

ここ数年来、ちょっと考えていたことに、埼玉サッカー界における「南北問題」というものがあります。南北問題というのは私が勝手に名付けたのではありますが。

よく知られている通り、埼玉のサッカーの歴史は浦和の高等師範学校から始まりました。やがて「浦和を制するものが全国を制す」と言われた黄金時代、浦和南高の三冠達成を経て、現在に至ります。
「浦和はサッカー、大宮は野球、熊谷はラグビー」とかつて言われたような地域格差は確実にありました。かつて、浦和市のチームが県内の他地域のチームにサッカーで脅かされることなどあまり考えられないことだったのです(たぶん)。

ところが、最近は事情が少し変わってきました。
以下は小学生年代の全国大会の近年の成績です。
全日本少年サッカー大会
第23回(1999年)県代表:新座片山FC(新座市)
第24回(2000年)県代表:江南南サッカー少年団(大里郡江南町)全国三位
第25回(2001年)県代表:江南南サッカー少年団(大里郡江南町)
第26回(2002年)県代表:FC浦和(さいたま市)全国優勝
第27回(2003年)県代表:江南南サッカー少年団(大里郡江南町)全国優勝
            県代表:新座片山FC(新座市)
また、中学生年代のクラブでは昨年、熊谷市のクマガヤSCが年間ポイントでレッズを押さえ、3年ぶり2度目の県内1位に輝きました。
昨年の高校選手権でも武南高の梅澤アイメン徳憲、前橋育英高の元木数馬、北村仁、武田英明、上野宏海、小出智史といったクマガヤSC出身選手、静岡学園の小林祐三(上里町の上里FC出身)などいわゆる県北出身の選手たちが、活躍しているのも目に付きます。今年レッズに入団した新井翔太も江南南出身です。
今や、特に4種(小学生年代)、3種(中学生年代)においては県北勢は県内でも有数の強豪であり、また全国的にも相応の地歩を占めているわけです。

しかし前述の高校選手権で活躍している選手の所属高校を見てもわかる通り、県外の高校に進学している選手も多く、4種、3種といったところの県内の隆盛が2種(高校生年代)に直接結びついていない傾向もまたあります。
過去5年間の高校選手権の出場チームは、以下のとおりです。
1999年 武南高校(蕨市)1回戦敗退
2000年 武南高校(蕨市)ベスト8
2001年 市立浦和南高校(さいたま市)3回戦
2002年 武南高校(蕨市)2回戦
2003年 武南高校(蕨市)3回戦
これまで県北の高校が県大会で優勝し、全国大会へ出場したことはありません。そのため、県北の選手たちがサッカーを強いチームで続けていきたいと思えば、レッズやアルディージャといったクラブユースチームに(セレクションに合格して)入るか、実績のある高校に入学するしかないわけです。ここで例えば熊谷-浦和は電車で1時間程度、熊谷-前橋は約1時間半かかります(新幹線等を使わない場合)から、浦和近辺の方が条件はいいですが、例えば前橋育英高は寮があり、武南や浦和東にはそれがなく、また近年の成績も前者の方が良かったりしますから、他の環境面等も含めて、(前橋育英でなくとも寮を持っている)県外へ流出するのが現状ということになるでしょうか。

つまり、北にいい選手がいるのに、それが埼玉県としての結果に結びついていないというのが「南北問題」の問題のひとつです。


もうひとつの問題は、「南北」の北、というか南以外の地域の環境が恵まれていないことです。
これは例えば、Jリーグのレベルの試合が行える会場が、南部は駒場スタジアム、大宮公園サッカー場、埼玉スタジアム2002にちょっと落ちて鴻巣サッカー場などあるのに、北部は熊谷スポーツ文化公園陸上競技場、西部は東松山岩鼻サッカー場、陸上競技場、川越陸上競技場くらいしかないという問題だけではなく、強豪チームが南部に多いこと、従って指導者の数も偏っていること、そしてここが重要ですが、そのためにトレセン等へも選ばれやすいということがあります。

プーマカップ(かつての日立カップ)というものが毎年1月に行われているのですが、その年の4月に中3になる学年を中心に選抜チームが作られます。
埼玉県では、埼玉Aと埼玉Bの2チームを作ります。私の知る限りでは、埼玉Aはクラブチーム所属選手中心で、埼玉Bは中学校のサッカー部所属選手から選抜されます。
今年の1月に選抜された両チームを見てみましょう。

強調しているのは南部以外のチーム出身者です。
埼玉A(県南:それ以外=10:8)
01 富井大樹 浦和レッズ(さいたま市)
02 石津遼太郎 大宮アルディージャ(さいたま市)
03 鈴木大喜 クマガヤSC(熊谷市)
04 内野佳介 狭山JrユースFC(狭山市)
05 田中貴大 浦和レッズ(さいたま市)
06 吉澤直樹 ロクFC(さいたま市)
07 成田進太郎 坂戸ディプロマッツ(坂戸市)
08 勝野洸平 大宮アルディージャ(さいたま市)
09 柿沼貴宏 大宮アルディージャ(さいたま市)
10 廣瀬智靖 クマガヤSC(熊谷市)
11 新井瑞規 東松山ペレーニア(東松山市)
12 山崎家光 浦和レッズ(さいたま市)
13 林 容平 狭山Jrユース(狭山市)
14 渡部大輔 大宮アルディージャ(さいたま市)
15 島崎一道 上里FC(児玉郡上里町)
16 長岡 彬 浦和レッズ(さいたま市)
17 有江悟志 ロクFC(さいたま市)
20 岡芹大樹 上里FC(児玉郡上里町)

埼玉B(県南:それ以外=10:10)
01 吉川正崇 行田長野中学校(行田市)
02 鈴木誉志 川島中学校(川島町)
03 中村 誠 さいたま白幡中学校(さいたま市)
04 小沼保則 北本東中学校(北本市)
05 吉馴真人 さいたま白幡中学校(さいたま市)
06 石井卓哉 桶川加納中学校(桶川市)
07 森 祐介 戸田新曽中学校(戸田市)
08 大久保翼 久喜東中学校(久喜市)
09 鈴木秀史 加須昭和中学校(加須市)
10 吉田啓吾 坂戸住吉中学校(坂戸市)
11 登坂純也 上尾大石中学校(上尾市)
12 町田也真人 さいたま白幡中学校(さいたま市)
13 酒井達也 さいたま与野南中学校(さいたま市)
14 木藤翔太 江南中学校(大里郡江南町)
15 川島慎也 騎西中学校(北埼玉郡騎西町)
16 堀江哲和 白岡菁莪中学校(南埼玉郡白岡町)
17 渡 翔太 さいたま与野東中学校(さいたま市)
18 小沼英則 北本東中学校(北本市)
19 横山祐治 さいたま白幡中学校(さいたま市)
20 千田啓輔 さいたま白幡中学校(さいたま市)

ここで3種(中学生年代)を取り上げたのは、もっと上の年代よりも自分の出身地のチームに所属する率が高いだろうと思ったからです(クラブユースは必ずしもそうじゃないんですが)。1年分だけを取り上げるのはあまりフェアではないのですが。
選手の比率を見ると、どちらも県南のチーム:それ以外のチームがほぼ1:1になっています(クラブの方はもっと県南よりですが)。

人口比からすると県南地域約263万人に対し、県南以外の地域が約430万人(いずれも平成14年3月31日現在の住民基本台帳人口)で2倍まではいきませんが、1.6倍ほどになりますから、(本来はサッカー人口で比べるべきでしょうけれども)県南地域以外のチームから人口比に従って、1.6倍ほど多く選ばれるべきでしょう。
それが1:1ということは、県南地域のチームは他の地域より1.6倍ほど選ばれやすいということが言えると思います。
トレセン制度というものがあって、埼玉県でいえば県南・県北・県西・県東のそれぞれで選抜された選手が県のトレセンに選出され、そこから関東に、そして全国にと続き、それが各年代の代表につながっています(もちろんそういうラインとは別に抜擢される選手もいます)から、県南、それももっとはっきり言えばさいたま市のチームでは、より高いレベルで経験が積める可能性がそれ以外の地域のチームよりも高いということになります。

それは、悪意によるものからではなく、数多の先人達の努力の上、あるいは現役の諸指導者の努力の上に成り立ってきたことの副産物です。いわゆるしがらみのようなものと言ってもいいかも知れません。
が、サッカーをやりたいという子供達にとっては、不公平な部分は厳然としてあるわけです。


こんなことを考えることもあります。
かつてNTT関東という名前だった今の大宮アルディージャが(いや、浦和レッズでも良いんですが)、大宮市ではなく、熊谷市をその本拠としていたら。
そして江南南SSやクマガヤSCとうまく連携していたら。
それはレッズにとっては良いことではないですが、本当の意味での埼玉対決になっていたかも。そして核を得た県北地域には北の選手が集まり、対抗するように南も...なんて。

今は県南部以外でも、先に述べた熊谷を中心とする北部地域(深谷、上里あたりまで含む)、東松山、坂戸、川越を中心とする県央地域、入間、飯能、狭山を中心とする西部地域、三郷や草加、春日部あたりの(東京や千葉の方を向いていることが多いみたいですが)東部地域など、各地で萌芽が見られます。
これらを束ねる求心力は、やはりレッズでなければ持ちえません。
人気、資本、施設、人脈、そうしたものを埼玉県の中で量れるようなレベルではなく、全国でも有数のレベルで浦和レッズは持っているのです。
できれば県サッカー協会などとうまく提携していければいいですが、たとえ一時期協会の意に沿わないようなことがあったとしても、レッズで主導権を持って事を進め、むしろ協会を引っ張っていくくらいでなければ王国復活(いや、作り上げるべきもののレベルの違いを考えれば、再建あるいは建設というべきでしょうか)は果たせないでしょう。

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コメント (7)

ぴよこ:

がんばれぇ!!応援してるぞ!!

do it for j1:

南北問題、興味深く読ませてもらいました。
県北の優秀な子たちを育成するサポートがもっと必要ですね。そのへん大宮のフロントも考えているようで、深谷にスクール開設してますし、ユースも坂戸、東松山、上里の出身が数多く入ってます。札幌の相川のように、高校は前橋に行ってしまうようなことになってますから、埼玉サッカーの復活のためには、絶対必要です。大宮のユースは熊谷中心にするとか考えたほうがいい。

こんな古い記事にコメントがつくとは!
で、ありがとうございます。

これの記事を書いているときには、優遇される「南」と、実力があっても冷遇されている「北(・西・東)」というようなイメージを持っていたのですが、今では、その当時思っていた以上に「南」っていうのはまだ大きな実力を持っているということです。つまり優遇も実力相応である部分があると。

まぁでもやはり北部が大きな成長を見せているのは間違いのないところであると思います。
結局北部の弱みは、一番評価されやすい2種年代の旗頭となるようなチームがないことですね。
例えば、前橋が埼玉県であったら、前橋育英なりが県代表を争う大きなライバルとして、南部の高校と切磋琢磨をしていたことでしょう。

そういう意味では、レッズが熊谷や東松山で普及活動をしたり、アルディージャの活動であったりするだけは、やはりもう1つ求心力が足りないのではないかという気もします。

埼玉の高校サッカーの没落が、クラブユース(レッズやアルディージャだけでなく、レイソルやFC東京、ヴェルディやジェフなどの)のせいだという論調もあります。
それについては、またちょっと考えて見たいと思います。

はるか:

みんなスゴイと思う!私の学校にもこのホムペにのってるサッカー部の人がいるけど、誰から見ても本当にウマイと思うし、幼稚園のころから、その人はサッカーやってるの見てきたからドンドン上手になってきてると思います。もっといっぱい練習して夢が叶うように応援しています!!頑張れ!

上の一覧にあげた人ばかりがうまいわけではないですが、上に上がっている人はやはりうまい人だと思います。

サッカーをすることで楽しんで、その上で夢が叶ったら最高ですね。
応援してあげてください。

RV前:

こんばんわ。RV前です。こちらへの書きこみははじめてです。よろしくお願いします。
さて、「南北問題」の中で気になった記述がありましたので、カキコしました。
過去に高校選手権で、県北からは児玉高校が優勝し、全国大会で三位になっていると思うのですが、いかがでしょうか。
では、また。。。

県大会のパンフレットを見てみると、昭和49(1973)年の第53回大会で優勝、全国大会でも3位になっていますね。
このときは、昭和45年から46、47と3年連続で浦和市立高が県大会優勝(47年次は清水秀彦を擁して全国優勝)、48年には西野朗(現ガンバ大阪監督)を擁した浦和西高が全国行きを果たしています。

49年は上に上げたように児玉高が県大会優勝、全国3位、その翌50年から浦和南高が4年連続で県大会優勝を果たす黄金期?を迎えています。
ちなみに水沼貴史、田中真二が53年に3年生になっています。
いわゆる「赤き血のイレブン」、永井良和、斉藤和夫といったあたりは、先の浦和市立のさらに前、42年や44年の県大会優勝のあたりです(44年に浦和南三冠達成)。

54年には武南高が初優勝を果たし、後の黄金期の予感を感じさせています。

児玉高ですが、49年の県大会優勝の他、その前後でも45、47、48、52、58年に準優勝、46、55年に3位になっています。
ちょうどこの時期は浦和市立、浦和南が強かった頃ですから目立ちませんが、この両校が仮に無かったら、「児玉時代」があったのかも知れません。
ただし、この時期ベスト4には他に浦和西や浦和といったところが入っているのに比べ、県北の高校は他に入ってはおらず、そういう意味では質量の面でやはり県南が優位にあったのは動かないかと思います。

ただし、例えば今群馬などの高校へ進学している有力な選手(逆に来る子も実は結構いるのですが)が、地元にこういう強い高校があることで、そこに集まったといった可能性はあるかも知れません。

いわゆる県北地域(熊谷以北)では昭和60年に寄居高が3位に入って以来、ベスト4には入っていません(越生や東松山の東農大三高といった県西、越谷や越谷南なんかの県東はあるんですが)。その前は55年の児玉です。

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